スーパーマーケット統計調査
スーパーマーケットの現状と近未来を“見える化”する指標である『スーパーマーケット統計調査』が発表されました。オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、そして社団法人日本セルフ・サービス協会(9月から社団法人新日本スーパーマーケット協会)の3団体が合同で公表する調査として注目を集めています。その内容、そして今後の展開について、島原康浩氏(日本セルフ・サービス協会事務局長)、名原孝憲氏(同広報課長)、長瀬直人氏(同統計調査担当)の3氏に伺いました。
300社を超える規模で“肌で感じた”景況感を分析
「今まで、食品スーパーマーケットという業界に特化した統計調査は存在していませんでした。数字がないということは、官庁など行政機関が実態把握をしにくいですし、大学などの学術機関による調査研究が進まないことを意味しています。ちょうど昨年、合併により新たな日本セルフ・サービス協会が誕生して会員数が増えたこともあり、他団体にもお声掛けして販売状況と近未来予測を含む統計を公表することになったのです」と島原氏。「これにより、各企業の今後の指針になることはもちろん、行政や各研究機関がスーパーマーケットの実態を把握し、業界の発展につながることを期待しています」
この調査は、「スーパーマーケット販売統計調査」と「スーパーマーケット景況感調査」で構成されています。
「直近の売上データなどの“過去の数字”に加え、“現場の景況感”を発表しています。これは〈3カ月前と比べた現状の判断〉と〈3ヵ月後どう見ているのか〉をそれぞれ5段階で表すもの。とかく過去の実績数値に目が行きがちですが、現場の“感覚”も大切です。内閣府が毎月“景気ウォッチャー調査”を発表していますが、調査対象のスーパーマーケットは100社ほどしかない。その点、お客様の様子やお店の状況を肌で感じた景況感が300社を超える規模で発表されるのは有意義なことだと思います。スーパーマーケットが、消費の最前線にいることからも、非常に重要な調査だと自負しています」(長瀬氏)
景況感をはじめ、“構成比”や“地域動向”にも注目
この景況感調査は、速報性でも注目されています。「当月の景気判断を月末に発表することで、景気ウォッチャー調査よりも2週間程度早く、景況感を把握することができます。これにより、例えば口蹄疫の問題が発生した際にその影響を日本で一番早く数値化して公表することが可能となりました。これは、スーパーマーケットのみならず行政や他業界の皆さんに対しても多いに役立つ指標になると思います」(長瀬氏)
さらに、注目すべきものとして“構成比”があると言います。「販売統計調査では、青果、水産、畜産など5つの食品部門と非食品のデータを公開しています。例えば自社の水産の構成比と比べて業界全体はどうだったのか、などと見比べることができます。また、エリア別の統計データもありますから、“何となく悪い”ではなく、ハッキリと数字で見えることによってさまざまな判断を素早く正確に行うことができる。こうした活用をしていただきたいですね」(名原氏)
加えて、業界全体の動向にも注目して欲しい、と3氏は口をそろえます。「他の業界よりも小売業は “既存店の前年同月比”に注目されがちですよね。しかし、新規出店が減少し、オーバーストア状態にあるといわれる現況を考えると全店ベース(企業単位)で動向はどうなのか、ということが今後より重要な指標となるはずです。例えば、私たちの調査では6月の食品売上高は全店ベースで前年同月100%を超えるものでした。消費マインドが依然として上向かないと言われていた中で、企業単位でみれば、売上は前年以上達成していることになります。今後は、企業努力による経営効率の改善等が販売動向の中心となりますので、全店ベースで、スーパーマーケット業界を捉えてほしいと考えています」(長瀬氏)
四半期ごとのまとめ冊子も会員向けに発行
食品スーパーの売上約17兆円(商業統計より)の中で、8割以上の約14兆円を網羅している3団体が公表する統計調査は、それだけ信憑性の高いものになっています。調査結果は、原則として毎月の公表日までに集計可能な企業を対象に「速報版」として発表し、翌月公表日までに、報告のあったすべての企業を集計した「確報版」を公開します。
さらに、四半期(3カ月)ごとに、この調査のデータと政府統計や各業界団体等の統計データの分析を組み合わせ、小売市場の動向をまとめた冊子「小売業ウォッチ」を発行するといいます。「日本セルフ・サービス協会の会員限定でこの冊子をお送りする予定です。毎月の調査と合わせて、日頃、目にすることが少ない指標により、小売業のトレンドを把握することで、今後の中・長期戦略策定にも活用できます。これだけの調査を会員の皆様にお届けできることは画期的なこと。ぜひお役立ていただきたいと思います」(島原氏)
現在の調査は、店舗での販売額を対象とするものとしていますが、将来的には無店舗販売も調査対象にすることも検討されているといいます。
「自店舗との比較に加え、マクロ視点で業界を俯瞰してトレンドを把握することも大切です。また、行政や研究機関への情報発信にもなり、業界全体の発展・向上につながることも期待しています。5年、10年すると、この調査の蓄積でさまざまな広がりが出てくるはずですから、今後の発表にご注目いただきたいと思っています」(島原氏)
「スーパーマーケット統計調査」は、原則として毎月末頃、3団体のWebサイトで公開されています。
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