白田典子・さやかの「気持ちが動けば 商品が動く」
全国各地から地域産品が集まる「スーパーマーケット・トレードショー」「デリカテッセン・トレードショー」。 1つ1つは特徴ある商品であっても、そのまま売り場に並べただけでは特徴が伝わらず埋もれてしまう、ということもよくあることでしょう。 そんな中、多くの地域産品と関わり続けてきた経験を持つ、有限会社良品工房の白田典子さん・さやかさんは 「消費者の気持ちを動かすことができれば、商品は動く(売れる)!」と力強くおっしゃいます。 この連載では、SMTS・DTS2021に出展された商品を題材に、消費者が思わず買いたくなるような 商品の見せ方・売り方のヒント=「気持ちを動かす」方法を伝授してもらいます。
第4回:伝統食をアップデート
あんこ、ぬか漬け、お餅・・・子どもの頃はおばあちゃんが手づくりしているのが当たり前だった食品も、今ではおいしくて便利な完成品がどこのスーパーでも買えるようになりました。おいしいのは知っているし食べたいとは思うけれど、手間を考えるとなかなか毎日の食卓には取り入れにくい伝統的な食品は、他にもたくさんあります。今回はそんなジレンマを解決する、使い勝手や楽しみ方を現代の食生活に合わせたアイテムを紹介していきたいと思います。
「出来上がっているあんこ」から更に進化しているのが、こちら。チューブ入りでその名の通りトーストに「塗る」イメージがつきやすい仕様になっています。ゆずや抹茶などフレーバーも複数あり、カラフルで写真映えするトーストやスイーツが気軽に楽しめるのも、今っぽく、使い方のバリエーションが広がります。
商品名 | 出雲ヌリアン(出雲大納言粒あん) |
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社名 | 有限会社坂根屋(島根県) |

同じくチューブに入っているこちらはサンマのつみれ。チューブで絞り出してスプーンにとれば、手を汚さずに調理できてしまいます。手間やごみの問題で消費量が落ちているお魚ですが、こんな風に国産のお魚が手軽に楽しめるのはうれしいですね。
商品名 | わが家のつみれ さんま |
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社名 | 株式会社鮮冷(宮城県) |

産地から離れると食べる機会がなかなか無い加工品も、より親しみやすい形になって広がりを見せています。静岡県の名物でもある「畳いわし」をさらにローストしてパリパリのチップスに。そのまま食べられる手軽さと、ヘルシーさが魅力的です。サラダのトッピングにも良いですね。
商品名 | しらすチップス |
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社名 | 有限会社山精水産(静岡県) |

続いても産地ならではの伝統的な加工食品。鰹節をつくる手前、ゆでたり蒸したりした鰹を燻製した「生節」。そのままでもおかずやおつまみに美味しいですが、塩とオリーブオイルで仕上げることで、ツナやサラダチキンのように使うイメージを想起させています。
商品名 | オリーブオイル漬かつお |
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社名 | 有限会社吉永鰹節店(高知県) |

高知県からは今月、こんな新商品も登場しています。旨味が強いことで知られる特産品の宗田だしをベースにした、キューブ状の和風だし。だしパックも台所の強い味方ですが、これならお椀に直接入れられたり、崩してチャーハンにしたりもできちゃいます。
商品名 | 和風だしキューブ |
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社名 | 土佐清水食品株式会社(高知県) |

「昔ながら」を大切にするのも素敵なことですが、こんな風に「使い勝手は現代風」にアップデートされていると、敬遠していた人も試してみたり、より頻度高く暮らしに取り入れられたりしそうですね。
11月末でSMTS2021の出展商品検索サイトはクローズとなります。気になる商品があった方は、ぜひ今のうちにチェックしておいてくださいね。2022年2月開催のSMTSにもたくさんの地域産品が出品予定です。また魅力的な地域産品をご紹介する企画を準備中ですので、ご期待ください。全4回、読んでくださりありがとうございました!またSMTS2022でお会いしましょう。
【筆者プロフィール】
白田典子
広告代理店を退社し、結婚・出産を経て、1994年良品工房を設立。 以来、地域商品にかかわり続ける。 2001年、「商品の価値は消費者がきめる」の想いから 「いいものプロジェクト」をスタートさせ、 独自の方法による地域商品の商品評価、モニター調査などを事業化。 2010年には、産地と消費者をつなぐ「場」として、 首都圏の商業施設内に地域食品を扱う直営店「ニッコリーナ」を出店。 台所と売場、両方の経験から「プロの消費者」として地域の商品づくりに携わるほか、 商業施設などの食品小売業をクライアントに、アドバイザーや売り場づくりの提案もしている。

白田さやか
新聞記者を経て、2010年に(有)良品工房に入社。 同年3月にオープンした東京駅構内の直営店「ニッコリーナ」の開店準備を担当し、 初代店長となる。4年間の実店舗経験を生かし、その後は、「地域産品の売り方・手渡し方」を 探求しようと、社内では、とくに品揃え、棚づくりなどを担当。 食品販売や地域産品の販売に新規参入する企業をクライアントに、店づくり、MDなどのアドバイスも行っている。 3歳児の子育て真っ最中の日常で、バリバリリアルな視点でのアドバイスが、迫力も説得力も増している。
