白田典子・さやかの「気持ちが動けば 商品が動く」

全国各地から地域産品が集まる「スーパーマーケット・トレードショー」「デリカテッセン・トレードショー」。 1つ1つは特徴ある商品であっても、そのまま売り場に並べただけでは特徴が伝わらず埋もれてしまう、ということもよくあることでしょう。 そんな中、多くの地域産品と関わり続けてきた経験を持つ、有限会社良品工房の白田典子さん・さやかさんは 「消費者の気持ちを動かすことができれば、商品は動く(売れる)!」と力強くおっしゃいます。 この連載では、SMTS・DTS2021に出展された商品を題材に、消費者が思わず買いたくなるような 商品の見せ方・売り方のヒント=「気持ちを動かす」方法を伝授してもらいます。

第3回:食べたい気持ちを刺激する商品名

旬の素材、トレンドアイテム、レシピ紹介・・・売り場での訴求には様々な切り口がありますが、今回は食品の「商品名」にフォーカスした提案をご紹介したいと思います。一大ブームになった「食べるラー油」など、ネーミングはお客様の気持ちを動かす大きな要素。その中でも今回は「オノマトペ」に注目して、商品をピックアップしてみました。
 「シャキシャキ」「パリパリ」「ことこと」「サクサク」「もちもち」などなど、食にまつわる擬音がたくさんありますよね。日本語には特にオノマトペが多いと言います。そしてこれらは、聞いた人の想像力を刺激してくれます。売り場でもきっとお客様の気持ちを刺激してくれるはず・・・

例えばこちら。自然薯なので「ネバネバ」かと思いきや、「サクサク」。自然薯フレークの食感がお茶漬けの良いアクセントになりそうだなと、朝食やお酒の後の〆にする様子を思い描いてしまいます。

商品名 やまぐるめぐり 柳井市 サクサク自然薯あられ茶漬け
社名 オールやまぐち!県産品売り込み会議(山口県)

「ふわゆきチーズ」はレアチーズケーキなのですが、「ゆき」だけでなく「ふわ」がつくことで軽く、くちどけの良さそうな雰囲気が伝わってきます。「半解凍でシャーベットのようにしても」というおすすめコメントがよりイメージを具体的にしてくれますね。

商品名 ふわゆきチーズ
社名 山田乳業株式会社(宮城県)

最近増えてきましたが、まだ馴染みのない方も多い「菊芋」。どうやって食べるのかもわからない方も多いと思いますが、「ポリポリ」と言われると、説明を読まずとも「そのまま手で持って食べる」ということが想像できてしまいます。

商品名 菊芋ポリポリ
社名 株式会社阿蘇自然の恵み総本舗(熊本県)

こちらは「シャキシャキ」と「佃煮」の組み合わせが珍しく、「おっ」と思わせてくれます。その食感から、「ご飯に混ぜ込んでもおいしそう」、「おつまみにも使えそう」などとメニューのイメージが膨らみます。

商品名 シャキシャキらっきょう おかか佃煮
社名 有限会社エスランドル(鹿児島県)

いかがでしたでしょうか?弊社の直営店、地域食品のセレクトショップ「ニッコリーナ」では実際に「おいしい音」と題して、オノマトペがつく商品名のアイテムを集めたコーナーを展開し、お客様からご好評いただきました(画像①)。手描きのPOPは漫画の効果音を意識して作りました(写真②、③)。たまにこんな企画も、考える方も楽しいのでおススメです。


【筆者プロフィール】

白田典子

広告代理店を退社し、結婚・出産を経て、1994年良品工房を設立。 以来、地域商品にかかわり続ける。 2001年、「商品の価値は消費者がきめる」の想いから 「いいものプロジェクト」をスタートさせ、 独自の方法による地域商品の商品評価、モニター調査などを事業化。 2010年には、産地と消費者をつなぐ「場」として、 首都圏の商業施設内に地域食品を扱う直営店「ニッコリーナ」を出店。 台所と売場、両方の経験から「プロの消費者」として地域の商品づくりに携わるほか、 商業施設などの食品小売業をクライアントに、アドバイザーや売り場づくりの提案もしている。

白田典子

白田さやか

新聞記者を経て、2010年に(有)良品工房に入社。 同年3月にオープンした東京駅構内の直営店「ニッコリーナ」の開店準備を担当し、 初代店長となる。4年間の実店舗経験を生かし、その後は、「地域産品の売り方・手渡し方」を 探求しようと、社内では、とくに品揃え、棚づくりなどを担当。 食品販売や地域産品の販売に新規参入する企業をクライアントに、店づくり、MDなどのアドバイスも行っている。 3歳児の子育て真っ最中の日常で、バリバリリアルな視点でのアドバイスが、迫力も説得力も増している。

白田さやか
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